旬のおいしさが1年中味わえる完全養殖“黒瀬ぶり”｜前編｜天然種苗に依存しないブリ養殖を確立

今回は志布志湾で育った私が、「完全養殖」とは何か？「黒瀬ぶり」を支える養殖技術について、ブリ養殖に長年携わっているお二人に伺っていきます！​

ニッスイに入社以来、15年間ブリ養殖の研究に没頭しています。主に大分海洋研究センターで人工種苗の研究に携わっています。​

私はニッスイのグループ会社の黒瀬水産に14年ほど勤務していて、現在は企画管理や営業開発を担当しています。​

早速ですが、完全養殖について教えてください。

完全養殖とは、飼育魚から人工的に採卵した卵を育成して成魚とし、さらに採卵して育成する一連のサイクルのことです。このサイクルの中で生産される稚魚を人工種苗といいます。一方、一般的なブリ養殖では天然の稚魚（「モジャコ」）を採捕して育成します。​

天然の稚魚を採ったり、天然の成魚から卵を採取したりしない養殖方法なんですか！？

はい、黒瀬水産では完全養殖に取り組み、2022年に出荷魚のすべてが人工種苗となりました。完全養殖は天然のモジャコを利用しないことから、限りある海洋資源への負担を軽減する、サステナブルな取り組みです。

黒瀬水産の頴娃（えい）種苗センターでは、三木さんが所属する大分海洋研究センターと協力しながら人工種苗を生産しています。​

ニッスイがブリ養殖を始めたのは2004年だと聞きました。

ニッスイがブリ養殖事業をスタートして20年以上が経ちました。 私が人工種苗の研究をはじめて15年です。

当初は思った通りに育たなかったとか。​

水揚げ船や加工場の方にご迷惑をかけることもありました。でも、技術を確立してからは生産も安定し、重量も4.5kg級に。いつだったか加工場で「この時期（春）に、こんないい状態のブリを見たことない！」という評価をもらえたときはうれしかったです。

このおいしいブリを日本だけでなく海外の人にも食べてもらいたいですね。もっと生産を安定化させて、世界中にジャパンブランド「黒瀬ぶり」のおいしさを届けていきたいと考えています。本当においしいんですよ！​

そのためにも、大分海洋研究センターでは黒瀬水産㈱と協同して、より良いブリの生産拡大を目指しています。​

前編はここまで。後編では、黒瀬ぶりのおいしさの秘密が明らかになります。お楽しみに！