A HISTORY OF VALUE CREATION
価値創造の歴史
創業以来、自然の恵みから多様な価値を創造し、
さまざまな社会課題を“食”で解決してきたニッスイ。
これからも健康で豊かな生活の実現に貢献していきます。
1911
トロール漁業を起点に
水産業の産業化を成し遂げる
ニッスイの歴史は、1911年、田村市郎が田村汽船漁業部を創業し、下関港を根拠地として国司浩助とともにトロール漁業の経営に着手したことから始まります。
1919年に共同漁業株式会社となり、トロール漁業に新たな技術を開発・導入して事業を拡大しました。1930年に戸畑漁港に拠点を移し、それを機にトロール漁業に不可欠な製氷や冷蔵倉庫での保管、加工・販売などのさまざまな機能を整備し、水産物のサプライチェーンを構築しました。
- 1911
- トロール漁業に着手
- 1920
- 民間初の水産研究機関・早鞆水産研究会を設立
- 1921
- 民間トロール船として日本で初めての無線電信装置の設置
- 1927
- ディーゼルエンジンを実用化
- 1930
- 早鞆水産研究会が船内急速冷凍装置を開発、実用開始
1921
水産物の完全利用と
有効活用を実現
水産物をそのまま販売するだけでなく、新たな価値を生み出すことにも挑戦しました。
水産物として販売しにくい魚を無駄にすることなく活用しようと、これを使って当時家業の域を出なかった「ちくわ」の工業化を目指しました。1921年に日本チクワ製造所を設立、ちくわの生産・販売に本格的に参入しました。
また、ちくわの生産で派生した魚の非可食部を活用してフィッシュミールの製造を開始しました。このように漁獲した水産物を余すところなく活用し、多様な形態の水産加工品の提供を実現しました。
- 1921
- 日本チクワ製造所を設立
- 1922
- アメリカ製ミーキン式漁糧製造機を導入、フィッシュミールを生産開始
1950
加工食品の開発・提供
1950年代に入ると、漁労事業のほか陸上の事業を拡大しようとフィッシュソーセージや冷凍食品をはじめとする加工食品事業を本格稼働させました。
家庭用調理冷凍食品では、1959年に第1号の「茶わんむし」を発売後、1960年代以降「ちびっ子コロッケ」「かにクリーミーコロッケ」「ホワイトフィッシュ」「かにシューマイ」「いか天ぷら」などが発売されました。
1980年代末、家庭用冷凍食品市場が伸長し始めた時期には、他社に先駆けて冷凍具付き冷凍めん「ちゃんぽん」、冷凍米飯「焼きおにぎり」を発売し、新たなニーズを掘り起こして市場の拡大に寄与しました。2000年代には自然解凍できる商品を開発するなど、ライフスタイルや世帯構造の変化に対応したおいしく手軽に食べられる冷凍食品を次々と発売。加工食品事業を拡大しました。
- 1946
- 太平洋戦争で中断していた「焼ちくわ」の生産を再開
- 1952
- 「ツナソーセージ」(フィッシュソーセージ)の本格販売を開始
- 1959
- 家庭用調理冷凍食品第1号の「茶わんむし」生産開始
- 1968
- 「焼ちくわ」の全国発売を開始
- 1987
- 家庭用冷凍食品「Cook For Me ちゃんぽん」発売
- 1989
- 家庭用冷凍食品「Cook For Me 焼きおにぎり」発売
- 1999
- 自然解凍の冷凍食品「おべんとうに便利」シリーズ発売
- 2002
- 卵白を使用しないちくわ・フィッシュソーセージを発売
1960
冷凍すり身の開発と
すり身製品の創出
ニッスイは資源量が豊富なスケソウダラを有効利用する方法として、それまでなかった「冷凍すり身」を開発しました。
北海道立水産試験場と共同で研究開発を進め、1960年に冷凍すり身の製造に成功し、1964年に自社のトロール船に冷凍すり身の製造設備を搭載して、洋上で漁獲後ただちに冷凍すり身に加工する試験を開始しました。1967年には本格生産を開始、翌年に最新鋭の生産設備を搭載した冷凍すり身トロール船が投入され、量産を開始しました。
その冷凍すり身を使用したフィッシュソーセージや、生で食べておいしい「焼きちくわ」が全国販売されました。それまで利用しきれていなかったスケソウダラから、洋上冷凍すり身やこれを使った食品といった新たな価値を創出したのです。
- 1959
- 北海道立水産試験場とスケソウダラすり身の共同研究開始
- 1960
- 冷凍しても品質の変わらないすり身を開発
- 1960
- 洋上冷凍すり身の研究を開始
- 1967
- 玉栄丸が洋上で冷凍すり身の本格生産を開始
- 1967
- 「フィッシュソーセージ」にスケソウダラの冷凍すり身の使用を開始
- 1968
- 生で食べておいしい「焼きちくわ」全国発売
1965
水産資源へのアクセスの強化
第二次世界大戦終結後、世界の沿岸諸国が自国の領海を主張し始め、日本の遠洋漁業の操業海域は次第に狭まっていきました。1977年に米国・ソ連(当時)が200海里水域の規制を開始し、ニッスイの漁労事業に大きな影響を与えました。
これを見越して、ニッスイは漁労に代わる水産物の調達手段として、国内外での水産物の買付を強化し、海外に買付・漁労などの事業拠点が設置されました。海外の拠点の一部は現在に継承され、グローバルな水産資源へのアクセスに重要な役割を担っています。
- 1965
- 北米での水産物買付を開始
- 1974
- 米国ワシントン州シアトルにニッポンスイサンU.S.A.社を設立
- 1975
- 米国アラスカ州ダッチハーバーに水産加工場(現・ユニシー社)を設置
- 1978
- チリの漁業合弁企業としてエムデペス(EMDEPES)社設立
- 1985
- 米国アラスカ州にグレートランド・シーフーズ社設立、スケソウダラすり身の生産を開始
- 1988
- チリにサーモン養殖会社としてサルモネス・アンタルティカ(S.A.)社を設立
- 1988
- オランダ・アムステルダムにニッポンスイサンヨーロッパ社を設立
- 1990
- チリにニッポンスイサンアメリカラティーナ(N.A.L.)社を設立
- 1990
- 米国アラスカ州にユニシー社第2工場(すり身工場)完成、生産開始
1978
高純度EPAの研究に着手、医薬品原料につなげる
ニッスイでEPA(エイコサペンタエン酸)の研究が始まったのは、1978年でした。1980年には千葉大学とともにEPAの疫学調査を行いその機能を見出しました。1981年には製薬会社と医薬品開発の共同研究を開始し、1990年に閉塞性動脈硬化症、1994年に高脂血症の治療薬として日本で認可されました。平行して、ニッスイはEPAの高度精製技術を世界で初めて確立し、高純度EPAの量産を実現、これらを医薬品原料として生産・供給してきました。米国では2019年に心血管疾患などの循環器系疾病への適用が認められるなど、EPAの可能性の追求は続いています。
- 1978
- EPA研究を開始
- 1980
- 千葉大学との共同研究を開始
EPAの高純度化に成功 - 1981
- 製薬会社と医薬品開発の共同研究を開始
- 1990
- 閉塞性動脈硬化の治療薬として認可
- 1994
- 高脂血症の治療薬として認可
1988
養殖事業への挑戦
漁業に代わる水産物の調達手段のひとつとして、1980年末より養殖に着目しました。
1988年、チリのサルモネス・アンタルティカ社でサーモン養殖を開始、のちに選抜育種および採卵・育成・加工と飼料生産の一貫事業を完成させました。また、養殖の研究開発を専門とする中央研究所大分海洋研究センターを1993年に設置、後年グループに参画した国内養殖企業を支援しています。
2004年に設立した、「黒瀬ぶり」を養殖する黒瀬水産では、2022年に出荷全量が人工種苗となりました。完全養殖の人工種苗は天然資源の負荷を低減します。ニッスイグループに2006年に参画した西南水産、2012年に参画した金子産業では、クロマグロの養殖事業を行っており、最近では100kg程度の大型のマグロを6か月前後で育成する短期養殖に注力しています。
2023年にはバナメイエビの陸上養殖を事業化するなど、養殖へのあくなき挑戦は続いています。
- 1988
- サルモネス・アンタルティカ(S.A.)社を設立
- 1993
- 養殖の研究開発を担う大分海洋研究センターを設置
- 2017
- ブリ類としてASC認証を世界で最初に取得
- 2022
- 養殖ブリ「黒瀬ぶり」の出荷全量が人工種苗となる
- 2023
- バナメイエビの陸上養殖を事業化
2000
水産物のグローバルサプライチェーンで
付加価値の高い商品の提供を実現
2000年代以降、グループ経営への移行とともに、水産物のグローバル・サプライチェーンを構築し、世界の市場に向けた水産物の供給に乗り出しました。
志に共感し、独自の強みを活かして事業を展開している会社が互いにつながり協働することで、世界の水産資源と食卓を結ぶグローバルリンクスと、それぞれの地域における多様な機能を結び付けるローカルリンクスが形成されていきました。
ニッスイグループは、資源から食卓をつなぐサプライチェーンにおいて個々に会社が強みを発揮し、 グローバルに協働することで、付加価値の高い商品の提供を実現しています。
- 2001
- ニュージーランドの水産企業・シーロード・グループ社に資本参加
- 2001
- 北米で家庭用水産調理冷凍食品を生産するゴートンズ社を取得
- 2005
- 米国で業務用水産調理冷凍食品を生産するキング・アンド・プリンス社を取得
- 2007
- フランスの水産フライ・チルド食品を生産するシテ・マリン社を取得、欧州の加工食品ビジネスに参入
- 2023
- 「ニッスイグローバルリンクス」シンボルマーク制定