事業等のリスク

当社グループのリスクマネジメント

(1)リスクマネジメントの考え方

当社は、「リスクマネジメント規程」において、企業の存続に影響を与えると考えられる事象発生の不確実性を「リスク」、企業が経営を行っていく上で事業に関連する内外の様々なリスクを適切に管理する活動を「リスクマネジメント」と定義しており、適切な「リスクマネジメント」の実行が経営の重要課題であると認識しています。

(2)リスクマネジメントの基本方針

当社グループは、水産物をはじめとする資源から様々な食品や医薬品原料などを製造し、世界の人々に対して供給することを使命としており、その責務を果たすべく安定した生産・販売の継続に努めています。そのような観点から、「リスクマネジメント規程」において、当社グループでは、事業活動の妨げとなるリスクの未然防止に努め、緊急時には人命尊重を第一に損失の発生を最小限に抑え、被災者支援など社会への配慮を行うとともに経営資源の保全と事業の継続に最善を尽くすことで、企業価値を維持・向上していくことをリスクマネジメントの基本方針として掲げています。

(3)リスクマネジメント体制

当社は、リスクマネジメントの実効性を高めるため、全社的リスクマネジメントシステムの構築とその維持・向上を任務とする、社長直轄の組織であるリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は全執行役員によって構成され、社長が委員長を務め、リスクマネジメント担当執行役員は、取締役会へ定期的に活動報告をしています。
また2023年度からグループ全体のリスクマネジメント体制の再構築に着手しました。従来、リスクマネジメント委員会では、情報セキュリティ・倫理(コンプライアンス)・労務安全衛生・災害BCPといった重要なオペレーショナルリスクやハザードリスクを管理する4部会を傘下に置いていました。一方で、サステナビリティに関するリスクはサステナビリティ委員会、 品質に関するリスクは品質保証委員会が管理しており、また、その他の事業リスク等については執行役員会で議論されるなど、課題テーマごとのリスクマネジメント体制となっていました。
これを、グループ全体のリスクを適宜、的確に捉える新しい体制への見直しを図っています。具体的には、リスクマネジメント委員会・サステナビリティ委員会・品質保証委員会・執行役員会の事務局が連携して、重要リスク対応を全社グループ視点で一元管理する体制へ移行し、リスク対応に優先順位を付けて経営戦略に落とし込み、将来の成長の機会とリスクの的確なマネジメントを目指します。

新しいリスクマネジメント体制を踏まえ、リスクマネジメント委員会は全社重要リスクを一元的に把握・管理する統合リスク管理機能として、次の事項を審議・承認し、取締役会へ報告することで、全社的リスクマネジメントシステムの構築とその維持・向上の役割を果たしていきます。

  • 重要リスク(※1)の特定 (重要リスク管理組織(※2)の特定)
  • 重要リスク対応計画の審議 (重要リスク管理組織が策定・報告)
  • 重要リスク対応計画実行のレビュー (過年度総括・評価・是正)
  • 重要リスク対応計画の網羅的な把握・確認 (次年度計画の全社集約・一元化)
  1. ※1重要リスク:当社のグループ経営において極めて重要度が高く優先的に対応すべきと判断したリスク
  2. ※2重要リスク管理組織:重要リスクごとに設置し、全社横断的なリスク対応計画の管理責任を負う組織

(4)リスクマネジメントプロセス

当社グループでは、新しいリスクマネジメント体制において、リスクマネジメントプロセスを年間のPDCAサイクルとして、リスクマネジメント活動を推進していきます。
中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定するため、マテリアリティをリスクマネジメントの起点としており、マテリアリティを見直すタイミングで、定期的に重要リスクの見直しを図っていきます。ただし大きな環境変化があった場合は、年度の進捗確認・評価で議論します。

(5)重要リスクの特定プロセス

当社グループは、中長期的に企業価値を維持・向上していくためには、政治・経済・社会・テクノロジーなどの外部環境の変化がもたらすリスクと機会に戦略的に対応することが重要と考えています。当社グループでは、有価証券報告書の「第2事業等の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述の通り、昨今の外部環境の変化を捉えたマテリアリティの見直しを行い、その過程でマテリアリティに関連する機会とリスクを抽出・分析し、中長期的な重要課題・事業戦略に重大な影響を及ぼすと認識するリスク項目を重要リスクとして特定しました。
また、プラスとマイナスの影響を持ち併せたリスクとマイナスの影響を主とするリスクの両方を統合管理するリスクマネジメント体制へ移行するにあたり、前者を経営戦略リスク、後者を経営基盤リスクの2つに分類して整理しています。

重要リスクの特定プロセス
<「リスク項目の特定」と「リスク評価」について>

マテリアリティに関連するリスクを抽出・分析し、リスク属性で整理した結果、17のリスク項目を特定しました。その中から、中長期的な重要課題・事業戦略に及ぼす影響を評価し、極めて重大と判断した11の重要リスクは以下の通りです。

経営戦略リスク 経営基盤リスク
影響重大
  • 人的資本への対応に関するリスク
  • 気候変動への対応に関するリスク
  • 生物多様性への対応に関するリスク
  • サプライチェーンの環境・人権に関するリスク
  • 海外事業展開に関するリスク
  • 地政学的問題に関するリスク
  • 製品の安全安心・品質に関するリスク
  • 情報セキュリティに関するリスク
  • コンプライアンスに関するリスク
  • 大規模自然災害・事故に関するリスク
  • 労働安全衛生に関するリスク

「重要リスク」の詳細は有価証券報告書の46ページから53ページをご覧ください。

有価証券報告書
リスクマネジメント推進体制図