閉塞性動脈硬化症・高脂血症などの治療に
EPAは、DHA(ドコサヘキサエン酸)とともに青魚に多く含まれる必須脂肪酸の一種で、人の体内ではほとんどつくることができないため、食事などから摂取していく必要があります。
ニッスイのEPA研究の歴史は長く、約40年前にさかのぼります。1979年に医薬品として製品化する検討を開始、翌1980年に千葉大学医学部と共同研究契約を結び、共同で疫学調査を実施するなどして有益性を確認、一方で高純度化に取り組みました。
1981年には製薬会社と医薬品開発の共同研究に着手。その後もEPAの高純度化かつ安定的大量生産の技術を進化させた結果、高純度EPAは1990年に閉塞性動脈硬化症、1994年に高脂血症の治療薬として日本で初めて認可され、その後、海外でも治療薬として認められました。更に2019年には米国で心血管疾患などの循環器系疾病への適用が認められています。ニッスイは現在に至るまで、30年以上もこのEPA医薬品の原体の安定供給を担っています。ニッスイに限らずEPAの研究は幅広く行われており、血中中性脂肪の低下や血圧低下作用、血小板凝集抑制作用、抗炎症・抗アレルギー作用など多様な機能が認められ、EPAの可能性はまだまだ拡がりを見せています。
世界初!EPAの高度精製技術を確立
EPAの原料である魚油に含まれるEPAは20%前後。医薬品とするにはこれを96.5%以上に濃縮し、純度を高めなければなりません。一方でEPAは、酸素に触れると徐々に酸化・分解していく取り扱いの難しいものでもあります。EPAをさまざまな形で活用するには、いかに不純物を取り除き、酸化を制御し魚臭さなどを減らして濃縮していくかが課題でした。これらを克服しながら高純度EPAの量産に成功し、現在では96.5%以上の高純度化を可能にしました。ニッスイは世界で初めてEPAの高度精製技術を確立し、医薬品原料としての高純度EPAを生産・供給し続けています。
EPAを広くお届けする商品の開発
1987年、ニッスイは現在のファインケミカル事業部の前身の専任部署を設置。EPAの医薬品化へ向けた共同研究を進め、医薬品原体の製造技術を開発する一方で、食品分野でのEPAの活用にも取り組んできました。
1988年には、カプセルタイプのEPA含有健康食品「海の元気EPA」を発売、のちに「海の元気倶楽部」での通販を開始しました。2004年には「中性脂肪が気になる方に」としてEPA・DHA含有のドリンクタイプの特定保健用食品「イマーク」を、2012年にはリニューアルした「イマークS」を発売しました。そのほかEPA・DHAを手軽に摂れる機能性表示食品、一般食品にも注力しています。