研究のアプローチ

ニッスイでは、長年にわたり主にEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの機能性脂質に関する研究を進めてきました。世界中で多くの研究者が脂質の研究を行っている中で、ニッスイでは新しい脂質の機能性を明らかにする取り組みも行っています。EPAとMCT(中鎖脂肪酸)を組み合わせた脂質であるEPA・MCT構造脂質や、EPAやDHAと別の脂肪酸であるDGLA(ジホモ-ガンマ-リノレン酸)の健康機能の研究を進めています。​​

図 1. EPA・MCT構造脂質とジホモγリノレン酸(DGLA)​​​

研究結果​

EPA・MCT構造脂質は、EPAとMCTを同じグリセリンに存在させること(構造化)により、EPAとMCTを単純に混ぜただけの油よりも、生体利用効率が高いことが判明しました。これらのことから、EPA・MCT構造脂質は、EPAよりもより広い領域で強い効果が期待できる可能性があります。EPAだけでは持久力向上の一つの指標である運動継続時間が増加するという研究報告は見られておりませんでしたが、EPA・MCT構造脂質を摂取することにより運動継続時間が有意に増加することが確認できました。

図 2. EPA・MCT構造脂質の運動継続時間向上効果

ジホモガンマリノレン酸(DGLA)は、n-6系(オメガ6系)脂肪酸の一種で、ARA(アラキドン酸)のもとになる成分です。ニッスイは、2009年から培ってきたARAの生産技術を基に、DGLAの製品化を進めています。
DGLAに関する臨床研究では、健康な人がDGLAを摂取した際に体内にしっかり吸収され、安全であることが確認されています。また、DGLAは炎症を抑える効果があるとされ、花粉症のアレルギー症状を和らげる可能性が期待されています。実際に行われた試験でも、DGLAがアレルギー症状の軽減に有効であることが確認されました。​​​​

図 3. DGLAの花粉症軽減効果​​

研究結果の活用​

世界の人々の生活がより良くなるための新しい価値(機能)を提供し、人々の健康増進に貢献したいという想いのもと、日々研究に取り組んでいます。研究結果を広く世の中に発信すること、将来的には、商品化を実現して人々の生活の質(QOL)の改善に貢献することを目指して、引き続き研究に取り組んでいきます。​

図 4. 研究結果の発信