養殖魚の魚病の研究

ニッスイでは、養殖魚の安定生産を脅かす魚病の対策を研究し、ニッスイグループの養殖事業における安定生産に貢献しています。例えば、養殖で問題となる魚病の一つに、魚の体表に寄生するハダムシが挙げられます。ハダムシの駆虫方法として「低濃度過酸化水素水薬浴法」を動物用医薬品会社と共同で開発し、実用化しました。

養殖魚の健康管理システム:N-AHMS®の構築

高品質の養殖魚を安定して育てるために、養殖魚の健康管理や養殖環境のモニタリングの研究を行っています。そして、これらの研究成果を養殖会社が有効に活用して養殖生産を安定させるN-AHMS®(NISSUI Aquaculture Health Management System、ニッスイ養殖健康管理システム)を構築し、魚病リスクを低減し、抗菌剤の使用の削減に取り組んでいます。また、ウエアラブルカメラを活用し、中央研究所の検査員が遠隔で養殖魚の検査を実施しています。

図 1.病原体の取り扱い設備 /ウエアラブルカメラを活用して魚を検査する様子​​

IT技術を活用した遠隔診療のメリット

Web会議システムやウエアブルカメラなどを活用することで、検査員教育や精度管理の省力化につながります。また、電子カルテシステムの導入により、検査結果や症状写真の共有によって診断精度が向上し、より迅速かつ的確な対策が実行できる体制を構築しました。過去データの解析、活用も可能となり、魚病対策技術の開発を促進につながっています。また、定期的なWeb会議で養殖事業会社へ魚病情報を共有・連携することで魚病対策の強化につなげています。​

黒瀬水産(ブリ)をはじめ、ニッスイまぐろ(クロマグロ)、弓ヶ浜水産(ギンザケ、サバ)、サルモネス・アンタルティカ(サケ・マス)などグループ養殖会社に展開し、養殖環境のモニタリングを強化し、養殖魚の健康管理を行っています。

図 2. N-AHMS® の仕組み​

社内認定制度

N-AHMS® では、養殖魚の健康診断の精度と信頼性向上のため、養殖会社で養殖魚の健康診断を担うA級検査員や指導者などの社内認定制度を設け、検査の質の標準化を進めています。

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