ニホンウナギ人工種苗の大量生産技術に関する共同研究を開始

2025年04月07日

 株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)は、株式会社新日本科学(代表取締役会長兼社長 永田 良一、鹿児島県鹿児島市、以下新日本科学)と、2024年10月よりニホンウナギの人工種苗の大量生産技術開発に関する共同研究を開始しました。2027年度をめどに、その後の事業提携の可能性を追求します。

 ニッスイは2001年にニホンウナギの人工種苗生産の研究開発に着手、2007年にシラスウナギの人工種苗の生産に成功したものの、2009年に研究開発を中断しました。その後、中央研究所大分海洋研究センターを核として、さまざまな養殖技術の研究開発に取り組んで深耕してきました。グループ企業の黒瀬水産株式会社が生産する養殖ブリ「黒瀬ぶり」が2022年度に人工種苗100%となったことは、その成果のひとつです。

 新日本科学は、2014年にニホンウナギの人工種苗生産の研究開発に着手、2017年にその生産に成功しました。2019年に鹿児島県沖永良部島にウナギ研究施設を建設し、天然資源と日本の食文化の保全に貢献する研究開発を行っています。

 このたびの共同研究は、新日本科学が培ってきたニホンウナギ人工種苗の基礎的知見や、ニッスイのブリ人工種苗の大量生産技術などの両者の強みを活かして推進し、現状の生産性を高めて大量生産技術の確立を目指します。

新日本科学が沖永良部島研究施設で飼育している、
孵化後253日に全長60㎜程度に成長したニホンウナギの稚魚

 現在日本で流通しているニホンウナギは、稚魚である天然のシラスウナギを河口域で採捕して人工的に育成したもので、天然資源に依存しているのが実態です。水産庁の報告によると、シラスウナギの採捕量は1980年代以降低水準にあり、かつ減少傾向にあります。農林水産省では持続的な食料システムの構築を目的に『みどりの食料システム戦略』を推進していますが、この中で2050年までにニホンウナギの人工種苗比率100%とすることを目指しています。

 ニッスイは、「健やかな生活とサステナブルな未来を実現する新しい"食"の創造」をミッションとして、長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」実現の第二段階として中期経営計画「GOOD FOODS Recipe 2」(2025~27年度)の取組みを開始しました。
 その重点成長領域のひとつに養殖事業を掲げており、特に人工種苗を使用する「完全養殖」は天然資源に負荷をかけない養殖手法として注力しています。その推進に向けてさまざまな養殖技術の開発・実用化を積極的に進め、持続可能な養殖業の発展に貢献していく考えです。今回の共同研究はその一環であり、かつ「うなぎ蒲焼き」という日本の貴重な食文化を持続的なものにするため、ニホンウナギの養殖技術の確立に挑戦していきます。

*本件に関する株式会社新日本科学のニュースリリースは以下よりご覧ください。
 https://snbl.com/

以上

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