養殖ビジネス拡大に向け、ブリ加工設備を増強
2025年02月04日
株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)は、現在取り組んでいる長期ビジョン「Good Foods 2030」において、最終年度の2030年度に養殖事業の規模を売上高1,000億円・営業利益100億円とするべく同事業の高度化・先鋭化を図っています。
この方針を受けて、ニッスイグループ企業でブリ養殖事業を営む黒瀬水産株式会社(代表取締役社長 立川 捨松、宮崎県串間市)では、「黒瀬ぶり」を年間300万尾出荷する体制の構築を目指しており、このたび主要加工拠点である本社併設の加工場「食品加工本部加工場」を増強して加工能力を拡大しました。
同加工場は1月31日に竣工し、2月1日より稼働を開始しました。
同社では、2023年6月の旧さつま水産(ニッスイグループのブリ・カンパチ養殖企業)の吸収合併により漁場や養殖尾数枠を確保していましたが、加工能力の拡充が課題となっていました。
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黒瀬水産・食品加工本部工場 増築後の全景
同社では既存の加工工場を増改築して増床のうえ新規設備を導入し、今後主力とする生鮮ブリのスキンレスフィレ(皮をとった三枚おろし)やロイン(四つ割り)の加工を機械化・ライン化して高度加工品の加工能力を高めました。さらにフィレラインを1ライン増設し、年間加工能力を3割程度上乗せしました。
また、出荷口を自動化・機械化し、かつパレット輸送や45フィートトレーラーへの積み込みが可能な仕様に変更して出荷作業の円滑化を図っています。
黒瀬水産は、一年間を通して脂がのった完全養殖の「黒瀬ぶり」を生産しています。同社が育種・孵化した人工種苗のブリを宮崎県および鹿児島県の漁場で育成し、水揚げ後は同社の加工場で短時間のうちに加工して国内外に出荷しています。
2022年度には出荷の全量を完全養殖とし、天然の稚魚に依存しないサステナブルなブリ養殖事業に転換しています。
現在、国内ではチルド出荷の生鮮品「活(かつ)じめ黒瀬ぶり」として、量販店鮮魚売場・鮮魚小売などに、海外向けには冷凍品としてヨーロッパなどに販売しています。
今後はフィレのほか高次加工品であるロインを増産して、外食などの業務用ルートの開拓にも取り組み、国内外の多様な業態に向けて拡販していきます。
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同社では、生鮮魚に対するお客さまのニーズの多様化や人口減少に伴う市場の変化に対応して事業を成長させて年間300万尾出荷を実現していく一方で、従来から消費地で発生している加工残渣の低減や加工地で発生する加工残渣の効率的な再利用といった環境配慮の視点でも、先進的な取り組みを加速させていきます。
水産物の需要が世界的に拡大する中で、持続可能な養殖事業の役割はますます重要となっています。ニッスイグループは長期ビジョン「Good Foods 2030」のもと養殖事業の規模拡大と技術の高度化を進め、環境との調和を図りながらサステナブルな水産物の調達力強化を目指しています。
【黒瀬水産株式会社 食品加工本部加工場 概要】
所在地:宮崎県串間市西浜2丁目15番地4号
延床面積(増築後):2,180平方メートル
主要生産品目:フィレ(生鮮・冷凍)・スキンレスフィレ・ロイン・ドレス
【黒瀬水産株式会社 会社概要】
本社所在地:宮崎県串間市西浜2丁目15番地4号
代 表 者:立川 捨松
設 立:2004年1月8日
資 本 金:4億9800万円
株 主:株式会社ニッスイ100%
事 業 内 容:ブリの養殖、加工・販売
事 業 所:本社・加工場(宮崎県串間市)、延岡海洋部 (宮崎県延岡市)、内之浦事業所(鹿児島県肝属(きもつき)郡肝付町)、
鹿屋事業所(鹿児島県鹿屋市)、笠沙事業所(鹿児島県南さつま市)、頴娃(えい)種苗センター(鹿児島県南九州市)
養 殖 場:黒瀬漁場・串間漁場・浦城漁場(以上宮崎県)、内之浦漁場・鹿屋漁場・笠沙漁場・頴娃漁場(以上鹿児島県)
従 業 員 数:286名(2024年4月1日)
取 得 認 証:対EU輸出水産食品取扱施設(登録養殖場2006年・加工施設2007年)・ISO22000(2011年・適用範囲拡大2018年)・
FSSC22000(食品部2016年)・ASC(ブリ類養殖およびASC CoC 2017年)・MEL(ブリ類養殖およびMEL CoC 2019年)
以上