特許「成熟後に瘦せにくいブリ属養殖魚」の発明者が令和6年度九州地方発明表彰の特許庁長官賞を受賞

2024年11月01日

 株式会社ニッスイ(代表取締役社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)の特許「成熟後に痩せにくいブリ属養殖魚」(特許第6989451号)を発明した以下の社員3名が、公益社団法人発明協会による地方発明表彰のひとつである「令和6年九州地方発明表彰」の特許庁長官賞を、11月1日に受賞しました。また、社長の浜田晋吾が実施功績賞(*)を受賞しました。
 表彰式は、11月15日に大分市内のホテルで開催されます。

発明者氏名 所属
森島  輝 株式会社ニッスイ 中央研究所 大分海洋研究センター長
太田  史 同 主任研究員
山下 量平 同 研究員
*実施功績賞:本賞を含む特別賞6賞の発明権利者が法人の場合、その代表者に贈呈される賞


■本発明の内容
 従来のブリ属の養殖では、産卵期の生殖器官の肥大化に伴って成長停滞や「痩せ」が生じ、商品価値が低下していました。これに対して、本発明では調節飼育環境下で飼育を行うことにより産卵後も痩せにくいブリ属養殖魚を得ることができます。
 これまで養殖魚は、栄養状態が良いと成熟しやすく生殖腺サイズが増大すると思われていました。しかし、本発明では生殖器官の成熟期前後の育成方法を工夫することで、育成期間を短縮し、成熟期の生殖腺サイズ増大を抑制することができました。これにより成熟を抑制するための栄養制限を行う必要がなくなり、同じ育成期間でも従来の天然の稚魚などを用いた育成方法に比べて大きく育てることが可能となりました。
 本発明では、夏場の痩せや成長停滞がないため、選抜育種を伴った人工種苗を用いることで、通年で一定サイズ・品質での出荷が可能となりました。

■本発明の活用
 この発明は、ニッスイグループの養殖事業会社である黒瀬水産株式会社が2017年に導入・実用化に着手しました。その後同社は天然の稚魚を使用しない完全養殖の事業化に成功、さらに本発明により1年間を通じて高品質な養殖ブリ「黒瀬ぶり」の出荷を実現しました。
 2022年度には同社が出荷する養殖ブリの全量が人工種苗によるものとなりました。天然種苗を用いずに完全養殖を行うことにより、天然水産資源への依存度を低下させ、環境保全や養殖事業の持続可能性に寄与しています。

 ニッスイでは、2030年に向けた長期ビジョン「Good Foods 2030」の重点成長領域のひとつに養殖事業を掲げ、ブリを始めとする養殖事業の拡大を推進しています。それを支えるさまざまな養殖技術の開発・実用化を積極的に進めて、持続可能な養殖業の発展に貢献していきます。

以上

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