ニッスイ、農研機構が共同研究する冷凍ブロッコリーの組織軟化に関する論文が「Food and Bioprocess Technology」に掲載

2023年12月20日

 株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)が、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(理事長 久間和生、茨城県つくば市、以下「農研機構」)と行った「冷凍野菜の高品質化に関する共同研究」において、気温が低い時期に収穫したブロッコリーほど、冷凍加工後に解凍した際の組織軟化が大きいことが明らかになりました。本研究は、オープンアクセス論文を掲載する国際ジャーナル「Food and Bioprocess Technology」に2023年12月20日掲載されました。

 ニッスイでは、1958年に、水産品・調理品に加えて農産品の冷凍食品の生産を北九州市・戸畑区で開始し、本格的に冷凍食品事業に着手しました。1962年には東京に当時新設した工場でほうれん草・えだ豆・そら豆などの冷凍野菜の生産を開始しました。
 家庭用の冷凍ブロッコリーの販売は2013年から開始。現在では、ほうれん草とともに主力のえだ豆に次ぐ位置づけとなっています。

 冷凍野菜は、旬の時期に収穫した野菜を、それぞれ品種の特性に応じて加工、軽く加熱して急速冷凍しています。生鮮のように利用時の洗浄・皮むきやカットなどの手間がかからないこと、加熱調理が短時間で済むなどの利便性が評価され、家庭用・業務用として広く利用されており、需要が拡大しています。
 しかし、野菜類は冷凍によって組織が軟化しやすく、解凍後に食感が低下することが問題となっています。
 本研究では、冷凍野菜としての需要が多いブロッコリーについて、品種、収穫時のサイズ(花蕾の直径)、収穫時期の違いが冷凍による組織軟化に与える影響を調査しました。

■論文表題
 「Effects of size, cultivar, and harvest season on the tissue softening in frozen broccoli」

■著者
 農研機構食品研究部門 食品加工・素材研究領域 西田 菜美子・安藤 泰雅
 農研機構野菜花き研究部門 露地生産システム研究領域 高橋 徳・大石 麻南登
 株式会社ニッスイ 中央研究所 水産食品研究室 ビリヤラッタナサク チョテイカ・橋本朋子・竹村裕二

 冷凍ブロッコリーを解凍した状態では、下図のように、解凍後の最大応力(外力が加わった時の物体の抵抗力)は収穫時期の気温(収穫4日前~収穫日までの平均)と強い相関があることがわかりました(r = 0.87)。

図 ブロッコリーの最大応力と収穫時期の気温の関係
収穫時期の気温は収穫4日前から収穫日までの気温の平均値。rは相関係数を示す。


 このことから、ブロッコリーの収穫時期の気温が高いほど冷凍・解凍後の最大応力は大きくなり、軟化しにくいことが明らかになりました。
 比較的温暖な時期に収穫したブロッコリーは冷凍加工に適しており、組織が軟化しにくい冷凍用ブロッコリーを栽培する際には、収穫が厳冬期と重ならないような栽培計画を組むことが重要と考えられます。
 この共同研究で得られた知見は、今後、冷凍用に気温を考慮したブロッコリーの栽培体系の確立や、冷凍ブロッコリーの食感の向上および品質の安定化に利用できると考えられます。

 ニッスイは、今後も食品や素材に関する研究を積極的に行いその成果を活用して、人々の健やかな生活やサステナブルな未来を実現する、新しい"食"をお届けしていきます。

以 上

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