ニッスイグループ取扱水産物の資源状態調査(第2回)結果

2021年09月22日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区、以下「ニッスイ」)は、ニッスイおよび国内外グループ企業の計41社が2019年1年間に取扱った水産物を対象に、その資源の状態について第三者に分析・評価を依頼した結果がまとまりましたのでお知らせします。
今回の調査にあたっては、2016年を対象とした前回調査(2018年結果公表)の対象水産物の範囲を拡大して調査項目を追加、資源状態を判定するデータを刷新し、第三者性を確保した分析を実施しました。
今後は、この結果をもとに持続的な水産物の調達に向けて体制構築を目指します。

ニッスイグループでは、CSR経営のマテリアリティ(重要課題)のひとつに「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達を推進する」を挙げ、海洋環境や水産資源の持続性、CSR調達といった社会課題に取り組んでいます。この調査はその前提として、グループとして取り扱う水産物の資源状態の現状認識を得るために実施しています。

【調査の概要】
□対象企業:ニッスイおよびグループ企業(国内20社・海外20社)合計41社
□対象期間:2019年1年間
□対象水産物:自社漁撈および自社養殖、グループ外より調達した水産物で、1魚種取扱い金額10百万円(10万USD)以上の海藻類を除く水産物。今回より魚油と配合飼料用魚粉を原魚換算して追加。
□分析・評価手法:SFP(*1)による水産資源に関するデータベースFISHSOURCE (*2)を使用し、ODP(*3)の手法に基づきSFPが分析・評価

*1 SFP(Sustainable Fisheries Partnership、持続可能な漁業のためのパートナーシップ)
サプライチェーンを通じた漁業の改善を推進している米国のNPO。2006年設立。
*2 FISHSOURCE
SFPが2007年に開設した国際的な水産資源に関するデータベース。水産資源に関する 公開情報を科学的に分析し、魚種ごとの資源状況や漁業管理状況を提供している。
*3 ODP(Ocean Disclosure Project)
SFPが2015年に運営を開始。水産物の調達を自主的に開示するためのオンライン報告プラットフォーム。

【調査結果】
(1)ニッスイグループの取扱水産物の概要は以下のとおりです。( )内は前回の結果です。
1)取扱数量‥原魚換算重量で285万トン(162万トン)。
2)取扱魚種数‥漁獲魚について471系群269魚種(約450系群)
3)漁獲海域‥FAO(*4)区分の海域で21か所(18か所)
4)天然魚と養殖魚の構成比...天然魚95%、養殖魚5%(天然魚93%、養殖魚7%)
5)MSC(*5)およびFIP(*6)の重量と比率
 ‥109万トン、MSC:全体の28%、FIP:全体の12%
 (56万トン、MSC:全体の36%、FIP:調査なし)

*4 FAO(Food and Agriculture Organization 国際連合食糧農業機関)
*5 MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)
*6 FIP(Fishery Improvement Project、漁業改善プロジェクト)
海洋環境を守り、水産資源を増やして持続可能な漁業を目指す国際的なプロジェクト

(2) 全漁獲魚量(天然魚)271万トンについて、その資源状態は以下の結果となりました。
1)191万トン(71%)が管理された資源状態であるもの、22万トン(8%)が改善を要するもの、57万トン(21%)がスコア欠損のため資源状態が判定できないものとなりました。

なお、前回調査では、総漁獲数量151万トンのうちも、資源状態の心配はないもの133万トン(88%)、資源状態が心配なものおよび不明なものは18万トン(12%)でした。
2) 全漁獲量のうち、MSC認証によるもの77万トン(28%)を含め、138万トン(51%)が持続可能な水産物利用を推進する第三者プログラムに基づいたものでした。
3) 年間1万トン以上を調達している魚種は、24魚種(67資源)合計242万トンあり、全漁獲量の9割を占めていました。
このうちスケソウダラが最多で74万トンあり、資源管理および状態ともにおおむね良好でした。次いでマイワシ37万トン、アンチョベータ(ペルー)28万トンとなりました。
配合飼料の原料となる多獲性魚種(2万トン)は、資源評価データが不足している海域からの調達が目立ちました。
また絶滅危惧種のイトヨリダイ(4万トン)やタイセイヨウダラ(2万トン)が含まれていました。

【課題と今後の対応】
今回の調査結果を受けて、持続性向上に取り組む対象魚種や範囲を決定し、目標を設定します。
そのステップは以下のとおりです。
①可能なものについては、持続性が確認できるものを選択します。具体的には、MSCなどの認証品や資源状態の良好な魚種・産地に変更、国産魚についてはMEL(*7)認証品も導入します。FIP品も調達の対象とします。
②変更が困難なものについては、資源状態の改善活動に関与していきます。FIPへの主体的な関与や資金提供などの支援を実施します。またサプライヤーの円卓会議に参画し、ともに持続性向上策を検討していきます。
③配合飼料に含まれる魚粉といった魚種の特定が困難な品目や魚種が変動する品目については、魚種を特定しトレーサビリティの確保から着手します。魚種構成を継続的に把握できる体制を構築し、その後資源状態を把握して改善のプロセスにつなぎます。
*7 MEL(Marine Eco-label Japan Council、マリンエコラベルジャパン協議会)

以上

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